わかった!資産承継をオーダーメイドで実現する家族信託

家族信託を中心としての相続対策支援について誰でも分かるように解説します

家族(民事)信託を組成した場合の固定資産税の取り扱いとは?

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 みなさんこんにちは、いよいよ令和の時代が近づいてきましたね。

 

昭和から平成に変わる時はまだ小さかったのであまり記憶が無いのと、急だったので実感が無かったのですが、今回は時代の移り変わりをしっかり見れそうです。

 

 さて、家族民事信託を進めていく上で様々な税金が関わってきます。

 

例えば、信託登記を行う際の登録免許税などがあります。でも、皆さんがもっとも気になるのは固定資産税ではないでしょうか。

 

固定資産税は毎年課税されますので一番気になりますよね。

 

土地・建物に関する固定資産税の取り扱いについて

次図のような家族(民事)信託を構成している場合を想定してみましょう。

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この場合固定資産税は誰にかかるのでしょうか。

 

この信託スキームから利益を得るのは受益者なので受益者である父(72歳)に固定資産税が課税されるという考えもあります。

 

また、不動産の名義人は受託者である長男(50歳)に課税されるという考えも成り立ちます。

 

答えは、「受託者」に課税されるということになります。

 

原則通り不動産の名義人に税金は課せられるということですね。

 

このようなことから、信託契約を行う際に注意が必要となります。

 

 信託財産の中に不動産がある場合、毎年の固定資産税が受託者に課税されるので信託契約を締結する際には、固定資産税を支払えるだけの現金も一緒に信託財産として組み入れて契約することが大切です。

 私が信託契約の案を作成する場合、固定資産税額にもよりますが100万円前後の現金も信託財産として組み入れるようにしています。また、万が一足らなくなった場合に備えて追加信託の条項も契約書に入れています。

 

安心した契約書を作成しておくと不安が解消されますよね。



以下、関連記事です。

 

家族民事信託で質問が多いのは税金の話です。特に多い「家族民事信託をすると不動産などの名義が委託者(財産を預ける人)から受託者(財産を預かる人)に移ると聞きました。その場合、贈与税などの税金はどうなるのでしょうか?」というご質問に答えた記事はこちらです。

munehisa0721.hatenablog.jp

 

受託者(=財産を預かる人)が信託財産を引き当てとして借り入れする場合のご相談が増えてきています。例えば、マンションなどの大規模改修、または節税効果を狙った賃貸物件の建築等ですね。この様な事例について解説した記事はこちら。

munehisa0721.hatenablog.jp

 

家族民事信託を登記する場合、ありのままを登記すると、プライバシーに関する事や、争いの元になる場合もあるので、しっかりと対策しておきたいですよね。登記について解説した記事はこちら。

munehisa0721.hatenablog.jp

 



家族(民事)信託の契約について家族の承諾の必要性とは

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 つい先日、男性(45歳)から、

 

「家族(民事)信託の契約を父親(76歳)と結ぼうと考えています。ただ、私には他に2人の兄妹がいます。この兄妹に対して事前に家族(民事)信託の締結について承諾をもらっておく必要はあるのでしょうか? 」

という相談を受けました。


 結論から申しますと、他の兄妹の事前の承諾は必要ありません。


ただし、私は他の兄妹に内密に信託契約を開始することはおすすめしていません。

 

信託契約の当事者は誰なのか

 信託契約は委託者(=財産をたくす人)と受託者(=財産をあずかる人)が契約を行うことで成立します。

 

 それ以外の方の関与は必要ありません。

 

 したがって、契約に関係のない親族の方の承諾は必要ありませんし、当然、契約書にサインや押印なども必要ありません。

 
信託は家族会議で話し合うことが大切
 家族信託は委託者(=財産をあずける人)と受託者(=財産をあずかる人)の間で契約をします。

 

 ただ、家族全員で合意したうえで信託を進めないと後々問題が起こり易いですよね。


 それは、信託は遺言と同様、財産の承継先を決める効果があるからです。

 

 財産の承継先を決める効果があるにも関わらず、他の相続人の知らない間に信託契約を進めるということは良くないですよね。

 

 また、信託の目的や内容を家族全員が共有することができれば、財産の管理・活用・処分方針が一致し、将来の「争族」の予防にも繋がります。

 

 これらの事情から、私は信託には家族全員が話し合い、納得した上で作成する方が家族信託の正しい取り扱い方だと思うので、実務でもそのような取り扱いをしています。

 家族信託は、委託者(=財産をわたす人)と受託者(=財産をあずかる人)だけの制度ではありません。

 ご家族の皆さんで話し合い、納得、同意を得ながら進めていく、円満解決策に導く制度です。

 今までの相続と違い、皆さんの想いを反映することが出来る素晴らしい制度ですので、是非活用してみてくださいね。

 

  以下、関連記事です。

 「息子、娘に内緒で家族民事信託をしたいのですが、可能でしょうか?」とう疑問を持たれる方は多いですね。受益者に内緒で家族民事信託契約を進めようとお考えの方は、こちらの記事をどうぞ。

munehisa0721.hatenablog.jp

 
 家族民事信託という言葉、メリットは知られる様になってきましたが、具体的にどの様な手法や手段があるのかは分かりづらいですよね。その様な方は家族民事信託の手法、手段を解説したこちらの記事を合わせてお読みください。

munehisa0721.hatenablog.jp

 
 法人で家族民事信託を組成希望の方から質問されるのは「受託者として法人を活用すると様々な利点があるということは分かりましたが、いったいどのような法人を利用したらいいのでしょうか?」です。こちらの記事では、よく利用される株式会社、一般社団法人の2つを比較しながら解説しました。

munehisa0721.hatenablog.jp

 

自筆証書遺言が大きく変わる?!(民法改正のテーマについて)

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みなさんこんばんは、もう3月です、時間が経つのはあっという間ですね。

 

私は花粉症に悩まされています。

 

 さて、前回は民法の改正点について記載しましたが、改正点はまだまだたくさんありますので、今回も前回に引き続いて改正点について解説しますね。

 

自筆証書遺言の要式が変わる!?


今回の自筆証書遺言の改正点としては2点あります。

どのような改正なのか少し解説いたします。



遺言書の作成方法とは?

 

 遺言には複数の様式がありますが、主な様式として「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類がありますが、今回は自筆証書遺言についての改正が行われるということです。

 

 自筆証書遺言は全文を「自署」する必要があるなどその要件が厳格に規定されており、また遺言者自身(又はその家族)が保管する必要があるため紛失のおそれがありました。

 

詳細については下記をご覧ください。

 

munehisa0721.hatenablog.jp

 自筆証書遺言は「自筆」が要件ですが、この「自筆」が実務に携わっている者としては、かなりハードルが高いと感じていました。

 というのも、遺言書自体がそれなりの年齢の方が作成するケースが多く、そのような方が全文を自筆すること自体が難しいからです。

 

 また、せっかく苦労して作成した自筆証書遺言は、遺言者自ら保管することになるため紛失の恐れが常にありました。

 

 そこで今回、民法が改正されてより自筆証書遺言が利用しやすくなったわけですね。

 

財産目録について自筆に寄らない自筆証書遺言の作成の解禁

 以前は、自筆証書遺言は全文の自署が必要でした。

 

 今回の改正によって、財産目録については自署をしなくてもよくなりました。

 

 たとえば、これまでは自筆が必要であった不動産の内容の表示や預金通帳の特定などは、法務局の登記事項証明書や銀行預金通帳の写しを添付するだけで可能となりました。

法務局での自筆証書遺言の保管制度とは?

 以前は、自筆証書遺言は自分で保管する必要がありましたので常に紛失の危険がありました。しかし、民法改正により法務局に自筆証書遺言を持ち込むことによって保管をしてもらうことが可能になりました。

 

 この制度を利用すると、従前までの課題であった紛失、偽造、変造の恐れが無くなるとともに、家庭裁判所での検認の必要もなくなります。

 

 これらの自筆証書遺言の改正によって利用が拡大すると思われますが、それでもやはり本文の自筆が必要ですのでまだまだハードルが高いように思いますね。



以下関連記事です。

将来、あなたのご家族内でも相続が発生するという方は多いのではないでしょうか。遺言書を書く際にここだけは知っておきたい点についてまとめました。こちらの記事を合わせてどうぞ。

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二次相続を考えている方は多いと思いますが、遺言、生前贈与ではこの思いは叶えられないですよね。そんなお悩みを抱く方に知って欲しい対策方法を解説。

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「信託財産を担保に出来るのか?」と質問を受けることがあります。今回は、そのような事例について解説しました。

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配偶者の居住の権利とは(民法改正のテーマについて)

 

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 みなさんこんばんは、もう3月になりました。
桜のの開花予報も出たようで、春ももうすぐです。


 さて、最近テレビや新聞などでよく見かけるようになった民法改正というフレーズですが、何がどのように改正されるのでしょうか。

 ここでは「配偶者の居住の権利」という改正ポイントを解説いたします。


配偶者の居住の権利の重要性


例えば、次のようなケースを見てみましょう。

  

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 亡父の相続が発生して、遺産分割協議を妻と長男で行う必要ができました。


相続財産は亡父が妻と暮らしていた自宅です。

 このような場合、わたしはよく依頼者から聞かれることがあります、それは

「2人(妻、長男)のうちどちらが相続したらいいのでしょうか。」

という質問です。

 このような場合これまではどちらが相続した方がいいのかメリット・デメリットを依頼者にお伝えしたうえで依頼者に判断してもらっていました。

 

以下関連記事です。

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 そこで、今回、民法が改正されて「配偶者居住権」「配偶者短期居住権」が認められることになりました。

 

 これはどのような権利なのかというと、ある一定の要件を備えることで、

仮に居住建物の所有権を長男が相続した場合でも、原則として終身の間、配偶者はそれまで居住していた建物に無償で住み続けることができるというものです。(配偶者居住権)

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 また、配偶者居住権を主張することができる要件を備えなくても、一定の間、居住していた建物に無償で住み続けることができる権利も創設されました。(配偶者短期居住権)

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 このような権利が認められることになると、配偶者の相続人は建物自体の所有権は取得しませんので、遺産分割で他の財産(預金・有価証券等)を相続しやすくなりますから、配偶者を保護することができるようになりますね。

 

以下関連記事です。

 家族信託相談の中で、相談事例が多いのが認知症のケースです。「もし、あなたのご両親が認知症の症状が出てきた場合はどの様に財産管理されますか?」この問いに答えられないのでしたら、一度こちらの記事を合わせてお読み下さい。認知症の具体例を用いて、家族信託でどの様に解決すれば良いのかを解説しております。

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 「私は財産が少ないので、相続対策なんていらないですよ。」と仰る方にこそ見て頂きたいデータをこちらの記事に記載しました。実は、「相続」が「争族」になった事例で、金額別で最も多いのは、遺産額が5,000万円以下なんです。データを見ると、財産の大小に関わらず、生前の相続対策はどなたにも備える時代かもしれません。

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 相続、民事家族信託セミナーを終えると質問で「遺言書を作成しておけば安心だ、ということをあちこちで耳にするのですが、それは本当ですか?どこかで注意すべき点はないのですか? 」と聞かれます。その様な不安を解消する知識と対策をこちらの記事に記載しました。遺言書の落とし穴を未然に防ぐ為に合わせてご一読下さい。

munehisa0721.hatenablog.jp

 

 

 

「自宅を相続する場合、誰に相続する方がいいの?メリット・デメリットを解説」を掲載

 

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 みなさんこんばんは、先日いよいよJリーグが開幕しました。
僕は特に応援しているチームは無いのですが、やはり地元のチームには頑張ってもらいたいですよね。


さて、次のような家族構成のご家族から相談がありました。

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 亡父の相続が発生して、遺産分割協議を妻と長男で行う必要があるのですが、
相続財産は亡父が妻と暮らしていた自宅とわずかな預貯金です。

 

 このような場合、わたしはよく依頼者から聞かれることがあります、それは、

「2人(妻、長男)のうちどちらが相続したらいいのでしょうか。」

という質問です。

 

 このような場合、わたしはどちらが相続した方がいいのかメリット・デメリットを依頼者にお伝えしたうえで依頼者に判断してもらっています。

 

今回はそのメリット・デメリットを解説します。

 

 まず、母親が相続する場合を検討してみます。
母親が相続した場合、最終的に代替わりをして長男が相続するまでに2回の相続を経ることになりますので、不動産の登記など経費が余計に掛かってしまいます。

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 一般的に、母親と長男を年齢から考えると母親が先に亡くなる可能性の方が高いです。そう考えると母親に相続させるのはあまり得策とは言えないかもしれません。

 しかも、母親も高齢である場合が多く、2回目の相続が早期に行われるということも多々あり得ます。

 

では、次に長男が相続した場合はどうでしょうか。


この場合は、下図のように1回の相続で代替わりが完了することになり費用面でも経済的ですよね。

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 母親も、長男が相続した自宅に住み続けることができるので安心した老後を過ごすことができるでしょう。

 

 このように見ると母親より長男が直接相続した方が良さそうに思えるのですが、次のようなケースを考えてみます。

不幸なことに長男が母親より先に亡くなってしまったようなケースです。

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 この場合、母親が住んでいる居宅の相続人は妻(A)とその子(B)ということになります。
 仮に、母親と長男の嫁との関係がうまくいっていない場合(嫁姑問題)、母親はこれまで通り安心して暮らすことができなくなる可能性があります。


 このように考えると、安易に相続人を決めるのは不適当で、各家庭での人間関係を十分に考慮に入れた上で相続をしなければならないことが分かりますね。


 やはり将来に渡り問題が生じた場合を想定してこれらの問題に取り組む必要があるということですね。

 


以下関連記事です。


今回の記事で配偶者の居住権についてより詳しく解説した記事はこちらです。合わせてお読み頂けると、理解が深まると思います。


配偶者の居住の権利とは(民法改正のテーマについて)

 

相続は、発生後に対策することは難しいので、個人の想いや考えを交えて事前に対策することが望ましいですね。民法上の相続では、個人の想いや考えを反映した相続を実現することは難しいですが、家族民事信託を活用すると個人の想いや考えを反映する事ができます。相続にあなたの想いや考えを込めたい方はこちらの記事を参考になさってください。
munehisa0721.hatenablog.jp

 
もし、「自分や配偶者に万が一のことがあったら相続人は誰になるのだろうか?」と疑問を持たれる方が多いのではないでしょうか。文字だけで解説すると分かり難くなるので、家系図等の図解を交えて、ご自身の家族構成と合わせながら簡単にこちらの記事で理解出来る記事はこちらです。

munehisa0721.hatenablog.jp

 

委託者の地位が相続で承継した場合、あなたの想いは実現されるの?

 

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 みなさんこんばんは、もう2月が終わりそうですね。早いものであまり全然実感がありません。

気が早いようですが、私は次の年号は何になるのが既に気になっています。

 いずれにせよどんな時代になっても素敵な未来を見据えて頑張らなければならないということですね。

 

 さて、先日ある依頼者から次のような相談を受けました。

相談者A(82歳)
 「私(相談者A)は17歳になる孫(B)に財産を承継させるという内容の家族(民事)信託を利用しているのですが、私(相談者A)が亡くなった場合、委託者としての地位は引き継がれるのですか。仮に、引き継がれるということであれば何か不都合なことはありませんか。 」

 

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 もし、委託者の地位が相続によって引き継がれるようであれば、相談者Aは確かに心配かもしれません。

 なぜなら、仮に委託者(A)が死亡したのちその地位が相続人である長男(C)に承継されるようなことがあれば、財産を孫(B)に承継させたいという委託者(A)の想いが実現できない可能性があるからです。

 

と言うのも、委託者には家族民事信託を解消させることができる権限があります仮に委託者としての地位を相続人長男(C)が承継した場合、長男(C)は民事信託契約を解消させる可能性があります。


むしろ、本来自分が相続するはずであった財産が、家族民事信託契約によって孫(B)が取得することになるわけですから、長男(C)が民事信託契約を解消させる可能性は高いといえます。


委託者が死亡した場合、その地位は相続人に相続されるの?

結論から申しますと、「委託者としての地位」は相続されます。

 

つまり、委託者Aが死亡した場合、相続人が委託者となってしまいます。

 

そうなると委託者Aの想いを乗せた家族民事信託は実現できない可能性があるということです。

 

このような場合に備えて、家族民事信託の条項に次のような文言を加えることで問題を解決することができます。

 

「委託者Aの死亡によってその権利は承継されることなく、消滅することとする。」

 

 ちなみに上記の条項が必要なのは家族民事信託を契約によって構築した場合に必要で、遺言により信託した場合は条項が無くても委託者としての地位は承継されません。(信託法147条)

 

なぜなら、遺言信託の場合、信託の効力は委託者が亡くなった時に生じることになります。

 

 信託による財産承継をしたいので遺言をしたにも関わらず、委託者が死亡した際に相続人がその信託を解消してしまうことができるのであれば信託をした意味がありません。


 よって、契約により信託を組成した場合と、遺言により信託をした場合とでは委託者の地位が相続されるかどうかに違いがありますので注意が必要です。

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以下、関連記事です。

相続対策として、家族民事信託が普及してきていますが、なぜ注目されるのでしょうか?それは、家族民事信託でしか解決できない問題が多々あるからです。家族民事信託でしか解決できない問題とは?を解説した記事はこちら。

munehisa0721.hatenablog.jp

 相続時に、親を献身的に介護をしてきた方と、介護してこなかった兄弟とで財産を折半することに納得できないという方も多いのではないでしょうか?この様な方こそ先に知っておいていただきたい家族民事信託の活用方法を解説しました。

munehisa0721.hatenablog.jp

 あってはならないことですが、財産管理を任せようと思っていた息子さん、娘さんが先にお亡くなりになる場合もあります。その様に受託者がいなくなってしまった場合はどの様にするのかの対策を分かりやすく解説。保険もそうですが、事が起きる前に万が一の対策を事前に考えておくことも人生設計においては大事なことですね。

munehisa0721.hatenablog.jp 

 

 

家族民事信託の受託者になったら、最初に知りたい財産管理の基礎知識

 

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 みなさんこんにちは、もう2月が終わろうとしていますが、まだまだ寒いですね。

かと思ったら急に暖かくなるなど寒暖差が大きいので体調管理には気を付けないといけないです。


 さて、家族民事信託の受託者(財産を預かる人)の説明をお客様にしていた際、次のような質問を受けました。


 「父親(委託者)から受託者(財産を預かる人)として私(子)が選任されましたが、私はこのような事務については素人ですし、誰か代わりに事務を行ってくれる方に任せることはできなんですか? 」


 確かに受託者がご自身で全ての事務を行うのは大変ですよね。

 

 一般的に家族民事信託を利用する場合の受託者(財産を預かる人)は、信頼のおける親族が就任することが多く(非営業)、多数の者から受託者として選任されることもありません。(非反復継続)


 一般的には親族が受託者(財産を預かる人)就任するということは、信託の法律に詳しくない方がほとんどではないでしょうか。

 ですので、受託者(財産を預かる人)としてどのような管理を行っていくべきなのかを分からないことが多いですよね。


受託者の能力によって信託事務代行者を選任しよう


 信託法では、「受託者は、信託事務の処理を第三者に委託することができる」と規定していて(法28条)第三者に信託事務処理を委託することを大幅に認めています。

 受託者(財産を預かる人)は前記のとおり、反復継続して受託者となることはできないので、親族が受託者となる場合が大多数となります。
 

 このような場合、信託法について詳しくない方がほとんどであると考えられるため、その者をサポートする方が必要になります。
 

 例えば、不動産の管理については不動産管理会社に、税金に関しては税理士に、というように、それぞれ専門家に依頼することで適切な業務を遂行できるようになります。

 受託者としても、専門的な第三者に業務を委託することができるのであれば、安心ですし心強いですよね。

 ただし私は、この信託事務代行者については法律専門職(弁護士、司法書士等)などがすべての権限等のアウトソーシングを受ける場合は脱法行為であると考えています。

 受託者が全ての業務を第三者に任せてしまう行為は適切ではないですよね。

 今一度、原点に戻ることによって家族民事信託を運用していくことが必要になります。


以下、関連記事です。

そもそも「受託者はどんな業務をするの?」と思われた方は受託者の業務を簡単に説明したこちらの記事をご覧ください。

munehisa0721.hatenablog.jp

 

受託者に指定した息子と財産管理でトラブルになったお母さんからのご相談でした。一度認定した受託者を解任することは出来るのでしょうか?分かりやすく解説。

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信託で禁止されている「脱法信託」と「訴訟信託」を解説した記事はこちら。

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家族(民事)信託を利用した資産管理とは?

 

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 みなさんこんにちは、今週は成人の日がありましたね。

 

私の成人の日は随分前ですが、懐かしく思います。

 

 月日が経つのはあっという間ですね。なんだか歳を取るのが年々早くなっているように感じます。

 

 さて、家族民事信託の利用が全国的に進んできているようですが、なぜ注目されているのでしょうか。

 

ズバリ家族民事信託ではないと解決できない問題があるからです。

 

主に次の3つの観点で解決できない問題点があります。

 

1.資産の管理について

2.資産の承継について

3.事業承継について    

 

今回を合わせて全3回に渡って上記の問題点について言及していきます。

 

今回は「1.資産の管理について」という点を解説します。

 

  家族(民事)信託の必要性

 

 近年、少子高齢化がさらに進行しており、高齢者の財産の管理方法が問題となっています。

 

 特に認知症高齢者の財産の管理においては、従来から成年後見制度の利用などを利用していました。

 

 しかしながら、この成年後見制度の趣旨からすると「本人の保護が優先」されることになります。

 

 そのため、相続税負担軽減対策のための近親者への贈与や株式投資などの積極的な資産運用はできませんし、また賃貸マンションなどの大規模改修なども制限される可能性があります。

 

 一方、家族民事信託の場合、受託者(=財産を預かる人)に一定の方向性で財産管理を任せることができます。委託者(=財産を預ける人)が元気なときにしっかりと財産の管理方法を指示しておくことで、仮に委託者(=財産を預ける人)が意思決定できなくなっても財産管理が可能になります。

 

 つまり、家族民事信託では、財産の管理の方向性だけを定めて、個別具体的な管理方法については受託者に一任して管理することができるということです。

 

  このように資産管理の柔軟性という観点から家族民事信託が注目を浴びている要因ということなんですね。

 

 実際、このような要望は多く、これからますます利用される機会が増えてくるのではないでしょうか。

 

 複雑化する財産管理について早期に取り組みことで多くの家庭の課題が解決できそうですね。

 

 

以下、関連記事です。

 

家族民事信託を活用するか、それとも成年後見制度を活用するかで迷われる方が一番多いのではないでしょうか?まず、成年後見制度と家族民事信託の違いと仕組みを知ることが第一です。成年後見制度ってなんだったっけ?または、再度確認したい方はこちらの記事をどうぞ。

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家族民事信託の必要性は分かったけど、私の家族で本当に必要かどうか分からないから、家族民事信託をもっと知りたいと思われた方はこちらの記事を合わせてお読みください。

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家族民事信託の受託者は財産管理する必要性があります。「財産管理ってどんなことをしないといけないの?」と思われた方は、こちらの記事を合わせてお読みください。

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【利益相反】受託者が受益者の地位を承継するケースの注意点とは?

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 みなさんこんばんは、明日から3連休ですね。

 

 私はがっつり仕事や家族サービスがあります。まぁ、たまにはそういうのも必要ですね。


さて、本日は利益相反(りえきそうはん)と民事家族信託について触れたいと思います。

 


 家族民事信託では、法律上規制されている利益相反とそれ以外で事実上利益相反となり注意していかなければならないものがあります。


 法律上規制されている利益相反行為は、当然違反すれば違法ですが、事実上利益相反となる場合、直ちに違法性を帯びるわけではありません。


 ただし、家族民事信託を運営していく中で望ましい状態でありません。

 


家族民事信託の受託者が受益者の地位を承継するケース


 家族民事信託には委託者(=財産を預ける人)のもつ財産を承継させることを最大の目的としているケースが多数あります。


 このような場合で最も多いのが、信託財産の最終的な承継者である帰属権利者が受託者(=財産を預かる人)である場合です。


 具体的には、以下のような場合です。

 当初、委託者兼受益者A・受託者Cとし、受益者Aが亡くなったあと、財産の帰属権利者をCとする信託のスキームを組成したようなケースです。

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 上記の図のように、受託者(C)が委託者(A)の財産の管理を責任を持って管理し、最終的には受託者(C)自身が財産の帰属権利者となるというのは、一見すると理にかなっているように思えます。

 
 しかし、受託者(C)の心境としては、どうでしょうか。

 

 「信託財産をあまり減らすことなく委託者(A)の財産を管理することができれば将来的にはより多くの財産を得ることができる。 」

 

 と、考える場合もありうるのではないでしょうか。


 つまり、受益者(A)の為に財産を管理すべきである受託者(C)は、最終的な財産の帰属権利者であるC自身の為に財産を管理する可能性があるのです。

 

 上記のような、事実上利益相反となるケースを制限する法律はありません。

 

 しかし、受託者に課せられている善管注意義務や忠実義務に違反する場合がありますので注意が必要です。

 

 このように家族民事信託は長期的な視点を持つ必要がありますが、司法書士などの専門家に早期に相談すれば疑問も解決します。


 長年抱えてらっしゃるお悩み等ございましたら、最寄りの専門家に相談して想いを実現していきましょう。

 

 

以下、過去の関連記事です。


 最近、信託が少しずつ浸透してきているので、信託業法関連の質問をされることも増えてきました。こちらの記事で信託業法について解説しました。

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 ご両親の認知症に悩まれる方は多いのではないでしょうか?認知症について質問されることが多いので、家族民事信託を認知症対策として活用した方法を図解で分かり易く解説した記事はこちら。

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 認知症の妻が施設に入所されているご主人様からのご相談です。ご自身も最近物忘れが増えてきたのでご相談に来られました。認知症の奥様に財産を承継する方法について解説した記事です。

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信託財産を担保として受託者が借入する場合の注意点とは?

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みなさんこんばんは、2019年に入って平成も最後の年ですね。

 

今年も素敵な1年になるといいですね。



 さて、家族民事信託のスキームを組成していく中で受託者が信託財産を引き当てとして借り入れを行う場合があります。


(金融機関の対応としてはまだまだ少ないようですが。)


その場合、どのような注意点があるのでしょうか。


引き当てとする財産の範囲は?


 家族民事信託において受託者(=財産を預かる人)が信託財産を引き当てとして借り入れする場合にケースとして多いのは例えば、マンションなどの大規模改修、または節税効果を狙った賃貸物件の建築等が考えられます。


 このような場合、原則その信託財産を担保として差し入れるわけですが、ここで委託者や受益者の財産も引き当てとするのかという問題があります。


 と言いますのも、この借り入れは委託者が望んでいる場合が多く、また、それから利益を得るのが受益者です。

 

 

 受託者のみならず、委託者や受益者もその財産を引き当てとすることによって与信状況が良くなるので金融機関としてはより良いと考えるでしょう。


仮に、それらの財産を引き当てとした場合に問題となるのが、委託者及び受益者の地位が承継等されていった場合の対応についての検討が必要です。


これらの対応については、今後実務積み重ねによって解決していくものと思われます。


 まだまだ発展途上の民事家族信託ですが今後ますます利用するケースが増えてくるものと思われます。


 長年抱えてらっしゃるお悩み等ございましたら、相談して想いを実現していきましょう。

 

以下、関連記事です。


83歳の母が賃貸管理業をしていて、最近は物忘れが酷くなり、将来的に息子、娘が財産管理をしていく為に、どのような方法が望ましいかご相談に来られたご家族からの相談事例です。こちらの記事と合わせてどうぞ。

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「先日、信託契約で受託者になったけど、何をすればいいのでしょうか?」というご相談です。受託者になったら何をするのかは分かりにくいですよね。簡潔に受託者の日常業務を解説した記事はこちら。

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「信託契約で財産管理を息子に任せていたが、財産管理の方法で息子さんとトラブルになり、息子さんを解任することが出来るのか?」というご相談について解説した記事はこちら。

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資産管理に関連して家族民事信託の必要性

 

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 みなさんこんにちは、今年もあと1か月と2週間程度となりました。

 

1年経つのはあっという間ですよね。

 

なんだか歳を取るのが年々早くなっているように感じるようになってきました。

 

さて、家族民事信託の利用が全国的に進んできているようですが、なぜ注目されているのでしょうか。

 

ズバリ家族民事信託ではないと解決できない問題があるからです。

 

次の3つの観点で解決できない問題点があります。

1.資産の管理について

2.資産の承継について

3.事業承継について   

 

今回を合わせて全3回に渡って上記の問題点について言及していきます。

 

今回は「1.資産の管理について」という点を解説します。

 

 

家族民事信託の必要性

 

 近年、少子高齢化がさらに進行しており、高齢者の財産の管理方法が問題となっています。特に認知症高齢者の財産の管理においては、従来から成年後見制度の利用などを利用していました。

 

 しかしながら、この成年後見制度の趣旨からすると「本人の保護が優先」されることになります。

 

 そのため、相続税負担軽減対策のための近親者への贈与や株式投資などの積極的な資産運用はできませんし、また賃貸マンションなどの大規模改修なども制限される可能性があります。

 

 一方、家族民事信託の場合、受託者(=財産を預かる人)に一定の方向性で財産管理を任せることができます。委託者(=財産を預ける人)が元気なときにしっかりと財産の管理方法を指示しておくことで、仮に委託者(=財産を預ける人)が意思決定できなくなっても財産管理が可能になります。

 

 つまり、家族民事信託では、財産の管理の方向性だけを定めて、個別具体的な管理方法については受託者に一任して管理することができるということです。

 

  このように資産管理の柔軟性という観点から家族民事信託が注目を浴びている要因になります。

 

 このような要望は多く、これからますます利用される機会が増えてくるのではないでしょうか。

 

以下、関連記事です。

 

家族民事信託を活用するか、それとも成年後見制度を活用するかで迷われる方が一番多いのではないでしょうか?まず、成年後見制度と家族民事信託の違いと仕組みを知ることが第一です。成年後見制度ってなんだったっけ?または、再度確認したい方はこちらの記事をどうぞ。

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家族民事信託の必要性は分かったけど、私の家族で本当に必要かどうか分からないから、家族民事信託をもっと知りたいと思われた方はこちらの記事を合わせてお読みください。

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家族民事信託の受託者は財産管理する必要性があります。「財産管理ってどんなことをしないといけないの?」と思われた方は、こちらの記事を合わせてお読みください。

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信託口口座の特定方法にはどのような問題点がある?

 

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 みなさんこんにちは、朝晩が随分寒くなってきましたが如何お過ごしでしょうか。

 

わたしは早朝にジョギングをしていますが、起きるのが少しずつ億劫になってきました。

 

もう2週間も経つと本格的な冬ですね。

 

 

 以前、ある男性(56歳)から下記のような相談を受けました。

 

 「父親(委託者)から受託者(財産を預かる人)として私が選任されましたが、まず口座開設をすることが必要だと聞きました。信託の口座開設をするにあたって何か気を付けないといけないことはありますか。 」

 

 家族民事信託において受託者にとって重要な実務として信託口口座の開設があります。

その点については以前、ブログにも書かせていただきました。

 

 確かに口座開設と一口で言っても金融機関によって取り扱いは様々ですし、どのようなことに注意すべきなのかは分かりづらいですよね。

 

 

危険な信託口口座とは?

 

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 例えば、金融機関が信託契約書の作成前に上記のような口座を開設してくれたような場合、どのような問題が考えられるでしょうか。

 

 次のようなケースを考えてみます。

 

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 受託者(財産を預かる人)は信託されたアパートが老朽化してきたので、金融機関から信託内融資を受けるべく、融資の申し込みをしました。

 

  すると、「当行では信託内融資はできません。」

 

 という説明がありました。

 

 そこで、仕方がないので他行に申し込みを行うことにしたような場合、問題が発生します。

 

 つまり、信託口口座が信託契約書の条項に特定されてしまっており、このままでは他行での借り入れができないということになってしまいます。

 

 このような場合に備えて、「受託者は、信託口口座を変更することができる。」などの条項を設けておくことが必要になると思われます。

 

 専門家は一歩先の状況を見極めて信託契約書を作成しなければならないという一例です。

 

 今一度、原点に戻ることによって家族民事信託を運用していくことが必要になります。

 

以下、関連記事です。

 

 信託口口座と預金の関係性について知りたいとのご要望も多いので、「預金を安心して預けたい」と思われる方は、事前に知っておいてほしい注意点を簡潔に開設した記事を合わせてお読みください。

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 信託口口座を開設する際は、必ず知っておきたい「受託者の分別管理義務」。私が家族民事信託を開始する際に決まってお客様にご説明する分別管理義務とは?

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 「わたしの子どもは重度の知的障害があります。この子も家族民事信託の受益者(利益を受ける人)となることはできますか?」というご質問についてお答えした記事はこちら。

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信託口口座が正式に開設されなかった場合の危険性とは?

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みなさんこんばんは。随分涼しくなってきましたね、朝晩は既に寒いくらいです。

 そろそろわたしもクリーニングに預けてそのままの毛布を回収に行かないといけません。

 

 実家で飼っている犬も冬に備えて抜け毛がすごいことになっています。。



 さて、先日は家族信託を組成あたって、信託口座を開設することの重要性について触れました。

 

 金融機関によっては、信託口口座のような名を打って通帳を開設するものの、本来の信託口座(倒産隔離機能)ではなく通常の預金通帳と同様の効果しかない口座を開設する場合があります。

 そのような場合、どのような問題点があるのでしょうか。

 

本来的な信託口口座ではなく信託口口座を語る普通預金口座の問題点とは?

 

 信託口口座を語る普通預金口座が開設されると、もちろん受託者の財産との隔離機能がありませんので受託者の固有財産として扱われることになると思われます。

 

 その場合どのような問題が起こりうるのでしょうか。

 

現状、一般的に考えられている事項は次のようなものです。

 

 1.信託が終了することなく受託者が死亡した場合、信託に利用していた口座は即座に相続財産となり、相続人により払い戻しが可能になります。

 

 1.受託者が破産等する場合、破産財団を構成し、また、預入先の金融機関等から相殺される恐れがあります。

 

 1.受託者個人の債権者からの差押えを受ける恐れがある。

 

上記のような危険があるとされています。

 

 金融機関によっては正式な信託口口座の開設に応じていただいているという話も聞くのですが、ほとんどの金融機関が現状では対応していないというのが実情です。

 

 今後、家族民事信託の普及によって理解が進むものと思われますが、一日も早く安全な家族民事信託を実現できるよう対応を進めていっていただきたいと思います。

 

 

 

以下、関連記事です。

 

 預金を信託する場合は、まず信託口口座を作る必要があります。信託口口座開設時には注意点がありますので、「預金を安心して預けたい。」と考えられている方には事前に知っておいてほしい注意点を簡潔に解説しました。

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 突然、「財産を管理する受託者にお前を選任しといたから。頼むわ。」と言われたら、あなたならどうしますか?財産管理をやったことが無いの方がほとんどの中、これからどの様に財産を管理していけば良いのかを解説した記事がこちら。

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 50代の弟が幼少期から重度の精神障がいで、高齢の両親も体調不良となり、徐々に面倒が見切れなくなってきたご家族からのご相談です。管理は長女に任せて、弟と一緒に過ごす両親のご希望は家族信託でどの様に叶えられるか解説した記事はこちら。

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家族信託で利用される信託口口座と預金との関係性とは?

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みなさんこんにちは、先週末も台風、今週末も台風ですね。

 

 またわたしは一日中自宅で避難することになりそうですから、本当に憂鬱な日が続きますね。

 

 さて、先日は家族信託を組成するにあたって、不動産の信託が多いので不動産登記について言及した内容を記載しました。


 
 同じように多いのが預金を信託するというケースです。

 

 その預金を信託する場合は信託口口座というのを開設することになるのですが、その際の注意点に触れることとします。

 

信託に関する口座開設とその注意点とは?

 

 信託口座を設ける場合、その名称は様々であると聞いています。


例えば、「委託者○○受託者△△信託口」という場合もあれば、「受託者△△信託口」というケースもあるようです。

 

 問題なのはどのような名称で口座開設ができたのかではなく、それが本当の「信託口座」として開設できているのかどうかという点です。

 

 本来、信託口座とは倒産隔離機能があり受託者の預金口座とは分別して取り扱われる口座を指します。

 

 それが金融機関によってはただの「屋号」として捉えられ、本来の信託口口座とは違う、受託者個人としての口座として捉えられる金融機関もあるようです。

 

 仮に後者の取り扱いを受けるようなことがあれば、信託をした意味がありません。

 

 信託を組成した専門家は、口座開設にあたって、その口座が本当の意味での「信託口口座」(倒産隔離機能あり)として取り扱われるのか、それとも受託者の「ただの預金口座」(普通の預金と同様に相続される口座)として取り扱うのか、を確認する必要があります。

 

 そうでなければ、受託者が死亡した場合、受託者の相続人が口座解約を金融機関に申し込んだ結果、預金が払い戻されるというようなケースも生まれることになります。

 

 わたしたち専門家も、こちらがどのような意図で作成を依頼しているのか、そして相手側(金融機関)もどのような意図で作成しているのかをきちんと理解した上で、安全な信託を実現しなければなりませんね。

 

以下、関連記事です。

 

 家族民事信託に興味はある方が増えてきましたが、興味がある方から必ず質問されるのは、「そもそも信託契約書はどのような形式で作成したらいいんでしょうか? 」です。こちらの質問について答えた記事はこちら。

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 家族民事信託の受託者になられた方は、分別管理義務があります。「そもそも分別管理義務って何?」「分別管理は何故必要なのか?」を分かりやすく解説した記事です。

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 「将来的に、32歳の息子に会社を譲りたい。ただ、会社の経営を任せるにはまだ早いから、息子に株式を移動させても議決権は私が持ち続けることは可能なのでしょうか?」というお考えをお持ちの方は多いのではないでしょうか?こちらの記事は、その様な相談に答えました。

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