家族信託における受託者の業務とは何?
みなさんこんにちは、最近は随分日没までの時間が長くなってきましたね。
先週末は台風も日本に接近していましたし、いよいよ夏がすぐそばまで来ていますね。
さて、先日知り合いの方から次のような相談を受けました。
「信託契約を締結したんだけど、受託者(財産を引き受けた方)はどのような業務をするのですか? 」
確かに受託者が普段行う業務について分からないことが多いですよね。
今回は、家族信託のキーパーソンである受託者がいったいどのような業務を行うのか、という点についてお答えします。
受託者が日常行う業務とは?
受託者が行う日常の業務としては主なものとして、信託期間中の会計資料作成業務があります。
信託契約期間中は、随時以下の資料を作成して受益者に報告しなければなりません。
1.「信託財産に係る帳簿」
2.「財産状況開示資料」
1.「信託財産に係る帳簿」は、堅苦しいものを作成する必要はありません。
管理しているのが現金であれば現金出納を、預金で管理しているのであれば信託口口座に記帳することでほぼ収支の帳簿とすることができます。
2.「財産状況開示資料」は、信託契約締結時に契約書の別紙として作成される信託財産の目録がそのまま財産状況開示資料となります。
信託金融資産の残高の変動があった部分だけを修正するだけで会計業務としては問題ありません。
以上のようなことから、一般的には後見制度における成年後見人が家庭裁判所に提出する財産目録・収支状況報告書より負担は少ないものと思われます。
しかしながら、家族の方が、受託者となるにあたって私が注意している点があります。
それは、受託者者は一般的に家族信託についての知識に明るくなく、また成年後見制度のように裁判所からの監督が無いので成年後見人よりも高いレベルでの管理が要求されるという点です。
このような方たちを、私たち専門家が受託者をしっかりサポートする体制づくりが急務となっているのです。
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