高齢社会でも困らない!図解で分かる認知症対策としての家族民事信託の活用方法とは?
みなさんこんにちは、最近少しずつ日差しが強くなってきましたね。
わたしが過去に高校球児として過ごした大好きな夏の季節までもうすぐです。
さて、先日事務所にお越しになられた55歳の方から次のようなご相談を受けました。
相談者・長男(55歳)
「80歳になる母は最近もの忘れがひどくなり、将来的には老人施設への入所も考えています。そうなると今後、母が住んでいる自宅や預金の管理などを私がしていかなければなりませんが、このまま認知症が進行すると思い通りに管理できない可能性があると聞きました。また、母が亡くなったあとの財産の承継方法については私(長男)と姉(長女)で等分で相続したいという希望があります。何かよい方策はありませんか。 」
今回のご相談を要約しますと、以下のようなものではないでしょうか。
①母親の入所施設費用等の生活費等をきちんと管理したい。
②母親が認知症になった場合でも柔軟な財産管理を行いたい。
③母親が亡くなったあとの財産の承継方法を指定したい。
家族民事信託を利用しないで問題を解決するには?
上記①~③のように複合的に問題が関連するケースは実は多くあります。
当然そのようなケースは解決が困難です。
例えば、①を解決しようとすれば委任契約や成年後見制度を利用することになります。
ただし、②のケースを対応しようと思えば、委任契約や成年後見制度では対応することができません。
そして、③を対応するのであれば、事前に母(80歳)に遺言書を書いておいてもらう必要があります。
【事例紹介】家族民事信託を利用した認知症対策
このように複合的な問題が混在するような今回の場合、私は家族民事信託を活用したスキームを提案いたしました。
この家族民事信託のスキームを図に示すと次のようになります。
家族民事信託を利用したスキームで実現できること
家族民事信託を利用した場合、どのような解決が可能になるのでしょうか。
①母親の入所施設費用等の生活費等をきちんと管理したい。
⇨母親の預金については、施設入所費用など日常生活のための生活費として長男(受託者)が管理して、必要な時に母親のために使用することができます。
②母親が認知症になった場合でも柔軟な財産管理を行いたい。
⇨母親が認知症になった場合でも自宅を賃貸や売却、大規模修繕等の処分を行うことができ柔軟な財産管理が可能です。
③母親が亡くなったあとの財産の承継方法を指定したい。
⇨母親が亡くなったあとに残った財産は信託契約の中で事前に定めておくことによって、長男と長女が引継ぎ、相続のような効果を生むことができます。
以上のようなスキームを提案して、信託契約書を作成することで、これまでは実現が難しかった想いを実現することができます。
一見複雑そうに見える家族民事信託ですが、司法書士などの専門家に早期に相談すれば疑問も解決します。
長年抱えてらっしゃるお悩み等ございましたら、相談して想いを実現していきましょう。
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相談にお越しになられた方の中には、お子さんが幼少期から障害を抱えられ、両親も歳を取ってきて、少しずつ介護、介助出来なくなってきたと仰る方もいらっしゃいます。この様な事例にも、家族民事信託を活用することが出来る場合があります。今回はお悩みを抱える方のご相談事例を元に解説しました。