わかった!資産承継をオーダーメイドで実現する家族信託

家族信託を中心としての相続対策支援について誰でも分かるように解説します

遺言で2回以上の相続人の指定(二次相続)は可能なのか?

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 先日沖縄が梅雨入りしたみたいですね。いよいよ夏が近づいてきました。

わたしが住む四国の梅雨入りももうすぐです。

 

 さて、今回の記事は、先日の家族民事信託のセミナー後に個別相談にお越しになられた方からのご質問を紹介いたします。

 「今日のセミナーを聞いて自分なりに考えてみたんですけど、自分が亡くなった後、残された妻が安心して生活することができるかどうかが心配です。まず、一次的に妻に自分の財産を相続させたいですね。妻が亡くなったら、二次的に残った財産のうち自宅と預金の一部を長男に相続させて、その他の財産については長女に承継させたいと思っています。そのようなことができるんでしょうか。」

 価値観や家族の在り方が大きく変化している中、財産の引き継ぎ方も様々です。上記のような考えをお持ちの方は、他にも多くいられるのではないでしょうか。

 家族(民事)信託と遺言の二次相続の可否とは?

 相談された事例のように、2回相続先を指定することを私たちは一般的に二次相続*1と言います。

 実は、この二次相続は通常行われている生前贈与や遺言による財産の引き継ぎ方では実現できません。しかし、家族信託を利用することによって解決することができます。

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二次相続を遺言書によって実現できない理由

ここで、よく聞かれるご質問が、

「なぜ二次相続が家族(民事)信託によると可能で、遺言では不可能なのか?」ということです。

 遺言では二次相続による財産承継がなぜできないのでしょうか。

それは原則、財産を承継するとその財産は完全に承継された者の財産になるからです。

 完全に承継した者の財産となるのであれば、承継した者が自由に利用することができるのが原則ですよね。

 冒頭の相談の例でいうと、妻が夫から財産を承継したのであれば、その時点で財産は完全に妻の財産となっているのです。

 その為、その後財産等を受け取った妻がどのような利用を行うのかは妻に委ねられるのであって、亡くなった夫の意思がそこに介入する余地はありません。

二次相続を遺言によって完全に実現することは困難

 もし、冒頭の例で二次相続を遺言書によって実現しようとすると、次のような手順になりますが、結論から申しますと不完全な二次相続になります。

 ① ご本人が遺言書を書く
   「私の財産をすべて妻に相続させる」
     ⇓
 ② 妻にも遺言書を作成しておいてもらう
   「私の財産をすべて長男に相続させる」
 
 上記のように事前に遺言書を妻に書かせておくことはできますが、遺言書は撤回することができます。また、何度でも書き換えることもできるので夫の思いを完全に実現できるとは言えないですよね。

 そんな不安定な状況では、安心して自分の思いを実現することはできませんよね。


 勿論、現代の民法上で叶えられる相続もありますが、個々の要望や想いが多様化した現代社会では、個人の思いを実現するには少しカスタマイズしにくくなってきているのも事実でしょう。

 ご自身の要望や思いを叶えようとすれば、多様な要望に寄り添って作成出来る家族信託を活用する方が、現時点では望ましい解決策と言えるでしょう。

 

 以下関連記事です。

 皆さんが相続を考えた際に、まず思い付くのは遺言書ではないでしょうか?将来、遺言書を書く側も、財産を受け取る側も知っておきたい遺言書の注意点について書いた記事はこちらです。合わせてご覧ください。

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 民法改正によって、自分で書く遺言書(自筆証書遺言)が大きく変わったのをご存知でしょうか?近年、高齢の方が自筆証書遺言を書く際に、認知症、介護状態の方々が増えて来たので、こちらの法改正が多くの方のお役に立ちそうですね。

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 利益相反と聞くと、大袈裟だと思われますが、家族民事信託では意識せずに起こる可能性がある事例です。今回は、図を利用して、何故、家族間でも無意識に利益相反が起こってしまうのかを事例を交えて解説しました。

munehisa0721.hatenablog.jp

*1:

二次相続(にじそうぞく)
 二次相続とは、自分が亡くなったあとの最初の財産の承継(一次相続)だけでなく、その次の2回目の財産の引き継ぎ先を指定することをいいます。

 たとえば、「私(80歳)が亡くなったときには、まず初めに妻(78歳)に財産を引き継がせて(一次)、そのあと妻が亡くなったときにはその財産を長男と長女に2分の1ずつ引き継がせよう(二次)。」

 というように、財産の引き継ぎ先を2回以上指定するようなことをいいます。