家族が受託者(財産を預かる人)の場合に信託業法に違反しないの?
みなさんこんにちは、8月に入り少し暑さも和らいで来たように思いますが気のせいでしょうか。
甲子園も開幕しましたし、熱戦を期待したいですよね。
我が香川・丸亀城西高は惜敗という結果になりましたが、随所に意地を見せてくれました。
さて、家族民事信託を進めていると必ずといっていい程、話題にあがる信託業法との関連についてですが、先日たまたまご質問をいただきました。
「最近信託が浸透してきているようですが、家族民事信託は信託業法に抵触(違反)しないのですか? 」
原則、信託業を営む場合、内閣総理大臣の免許や登録を受ける必要がありますが(信業法2①)、家族民事信託はその免許や登録を受ける必要があるのではないか、と思う方も多くいらっしゃいますよね。
そこで、今日は家族民事信託と信託業法との関係を解説します。
家族民事信託の信託業法の適用に関しての考え方
結論から申し上げますと上記の図のように、「不特定多数の委託者からの信託を一人の受託者が受けることを予定していない場合には、信託業の対象とはならない。 」
ということです。
一般的に家族民事信託を利用する場合の受託者(財産を預かる人)は信頼のおける親族が就任することが多く(非営業)、多数の者から受託者として選任されることもありませんので(非反復継続)、基本的に信託業法の適用はないと考えられます。
信託法が指す営業と反復継続性とは?
信託業とは信託の引受を行う営業を指します。
この営業に該当する場合、内閣総理大臣の免許や登録が必要になり、違反した場合罰則も設けられています。(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、それらの併用)
家族民事信託でも信託報酬を受けることができ、この報酬を受けるという行為も営業に該当するのではないかと考えられますので、不安に思われるかもしれませんが、営業性は無いものとされています。
また、信託業に対する規制の対象は、信託の引受の営業とされていて、反復継続性が要求されています。
この反復継続とは、「不特定多数の委託者・受益者の取引が行われているかどうか」を判断材料としています。
法治国家であるが故に仕方がないのですが、様々な法律が複雑に関わり合っています。
それぞれの専門分野に特化した実務家にご相談してみてはいかがでしょうか。
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