相続が生じた際によく聞く特別受益(とくべつじゅえき)とはいったい何?
皆さんこんばんは、とうとう10連休が終わりましたね。
明日からまた頑張っていかなければなりません。
引き続きブログの更新も続けてまいりますのでよろしくお願いします。
原則となる法定相続とは?
相続が起こったとき、相続人が法定相続分に応じて財産を取得するのが原則です。相続人は誰なのか、法定相続分の割合とは?
気になる方はこれらについて下記記事に詳細に記載していますので併せてどうぞ。
特別受益とは?
相続が発生した場面では、特別受益(とくべつじゅえき)が問題になることが多くあります。
そもそも特別受益とはいったい何でしょうか。一言で言うと、「被相続人(亡くなった方)から特別に利益を得た相続人がいた場合のその受けた利益」のことをいいます。
相続人の中に、被相続人(亡くなった方)から高額な生前贈与を受けるなど、特別に利益を得た人がいる場合にまで単純に法定相続分に従って遺産分割をすると、むしろ不公平になるケースがあります。
たとえば、以下のようなケースを考えてみます。
父が3000万円を遺して相続が発生し、その相続人が子ども3人である場合です。この場合、それぞれの相続分は1000万円となります。
しかし、実は父が亡くなる直前、長男に900万円を贈与していました。そうであれば、父の相続財産は本来3900万円あることになり、次男や長女はもっと多くの財産を相続することができるはずでした。
これでは次男と長女は納得がいかないですよね。
そこで、民法では、このような特別受益がある相続人の遺産取得分を減らすことにより、各相続人間の公平を図ることになっています。
特別受益があった場合の相続の算定方法とは?
では、特別受益があった場合どのように計算するのでしょうか。
特定の相続人に特別受益がある場合、まずは特別受益分の評価をします。今回は900万円ということになりますね。
そして、遺産の総額(3000万円)にその特別受益(900万円)を足します。この「遺産総額+特別受益分」のことをみなし相続財産と言います。今回のケースだと3900万円ということになります。
そして、みなし相続財産(3900万円)を、法定相続分に応じて割り算します。このとき、受益者の取得分からは、特別受益分(900万円)を差し引きます。そうすると、各自の取り分が計算できます。
以上の計算によって、このケースでは 長男が400万円、次男が1300万円、長女が1300万円の遺産をそれぞれが取得することになります。
このように遺産にいったん特別受益の評価分を足して、そこからあらためて法定相続分に従って遺産を分ける計算方法のことを「特別受益の持ち戻し」と言います。
このように、特別受益の持ち戻し計算によって、次男と長女の特別受益分が正当に評価されて、公平に遺産分割ができるようになっていることが分かりますね。
特別受益については、それが認められる場合や評価方法について難しい問題があるので、相続人らが自分達で話し合ってもうまく解決することができないケースが多いように思います。
そこで、寄与分や特別受益が問題になる場合は、専門家に相談することをお勧めいたします。
以下、関連記事です。
「子や孫に安心して財産を引き継げたらいいなぁ。」と思われる方は多いのではないでしょうか。そんな時にすぐ思い浮かぶのは遺言書ですよね。でも、遺言書には種類があることをご存知でしょうか。まず、ご自身に最適な遺言書を知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
既に家族民事信託を活用された方からの「私が亡くなった後に委託者の地位も相続されてしまうの?」というご相談内容について解説した記事はこちら。
最近、増えてきている相談内容は「長期間、献身的に親の介護をした私に、親の介護を全くしなかった兄が突然相続分を要求してきました。ずっと介護は私がやってきたので、納得がいかないのですがどうすればいいのでしょうか?」等のご質問です。そちらについて解説した記事はこちらです。