わかった!資産承継をオーダーメイドで実現する家族信託

家族信託を中心としての相続対策支援について誰でも分かるように解説します

詐害信託(さがいしんたく)とはどのような信託なのか?

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詐害信託(さがいしんたく)とは? 

 家族信託を組成する上で、目的設定が重要であるということを以前ブログで記載しましたが、委託者が債権者を害することを目的として信託をする方もいます。これを詐害信託(さがいしんたく)といいます。

 例えば、委託者がその所有する1000万円を全て信託財産として信託を設定するとします。これにより委託者の手元の財産は減少します。もし委託者に債権者がいた場合は、この信託によって1000万円をアテにすることができなくなりますよね。そうなると委託者に対する債権者の利益を害する恐れがあります。

 委託者の財産を家族信託すると、この信託財産は委託者の固有の財産とは離脱して、受託者が当該信託財産を管理・処分することになりますが、最終的にこの信託財産は残余財産受益者や権利帰属者に給付されるため、信託は委託者の財産を減少させることになります。

 このように委託者が債権者を害することを知りながら信託を設定した場合には、受託者がそれを知っているかいないかに関わらず債権者は受託者を被告として信託の取り消しを裁判所に請求することができます。

 但し、受益者が現に存する場合において、その受益者の全部又は一部が、受益者としての指定を受けたことを知った時又は受益権を譲り受けた時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは当該取り消しはできません。

 善意の受益者については保護しようということですね。

 受益者に対する詐害行為取消請求

信託財産の取消(信託法第11条4項)

 詐害信託の場合、悪意の受益者が受託者から信託財産に属する財産の給付を受けたときは、債権者は、受益者を被告として、詐害行為の取消しを裁判所に請求することができます。

受益権の譲渡請求(信託法第11条5項)

 詐害信託がされたことについて一部の受益者が善意の場合、信託の取り消しが認められません。それでは他の悪意の受益者まで信託の利益を享受してしまいます。

 そこで、委託者の債権者は悪意の受益者に対して受益権を委託者に譲渡するように請求することができます。

 これは善意の受益者が存在する場合には取消権を行使できないとしても、詐害信託について悪意の受益者に対しては受益権の譲渡請求をできるようにしたものです。

 

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