家族信託⇨遺言の順番で内容が重複した場合の取り扱いは?
家族信託を利用する際に相談を受けたものを解説します。
以前、「遺言⇨家族信託の順番で内容が重複した場合の取り扱いは?」という記事を書きました。今回は、「家族信託を先に組成したあとに遺言書を書いた場合はどのような取り扱いになるのか。」という点について記載しました。
家族信託⇨遺言の順番で内容が重複した場合の取り扱いは?
信託の組成を契約によって行うのかそれとも遺言によって行うのかによって結論が違いますので解説いたします。
遺言による家族信託⇨遺言書作成の場合
先に書いた遺言による信託と後から書いた遺言書の両方がある場合、遺言書が複数あるということになります。このような場合は、基本的に後から書いた遺言書が有効になりますので、先に書いた遺言による信託は無効です。死期に近い時に書いた遺言書の方がより本人の意思に沿っているだろうという考えですね。ただし、先に記載した遺言による信託も後から書いた遺言の内容と抵触しない場合は効力が認められます。
例えば、先に書いた『自宅は長女へ信託する。』と書かれた遺言による家族信託があったとします。同時に、後に書いた『自宅以外は長男へ相続する。』と書かれた遺言書も見つかったとします。
この場合は内容が重複していませんので、先に書いた遺言による家族信託も有効となります。
契約による家族信託⇨遺言書の作成の場合
契約による信託を行った場合、それは遺言による信託と違って即座に契約が有効になります。よって、その時点で委託者の固有財産から離れて信託財産となりますので、仮に後から書いた遺言内容と矛盾があったとしても先に書いた契約による信託が有効になります。
まとめ
家族信託が行われた後に内容が重複する遺言が行われた場合に、先に行われた信託が遺言による信託なのか、それとも契約による信託なのかによって結論が違ってくることになりますので注意が必要です。
このケースと比較になるのですが、遺言をしたあとに家族信託をした場合はどうなるのでしょうか。
以下の関連記事に記載していますのでご覧ください。
財産を安心して承継するにあたり家族信託、遺言、贈与など様々な方法を検討することになりますが、その際多くの方法を併用することもあります。
法的にどのような効果を生むのかをしっかりと理解しておかないといけないですね。
以下、関連記事です。
今回解説した内容の逆で、遺言書を記載した後に家族信託を組成した場合です。こちらの場合は、どの様になるのか解説した記事はこちら。合わせてお読みください。
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