家族信託で何の財産を信託すべきか
さて、家族信託を開始するにあたってよく聞かれるのが、様々な財産がある中で何を信託したらいいのでしょうか?という質問です。
家族信託は遺言書のように「全ての財産を信託する」ということができません。そのため何の財産を信託したらいいのか、というのを考える必要があります。
では、どのような財産を信託財産としたらいいのでしょうか。
家族信託で何の財産を信託すべきなのか
何の財産を信託したらいいのかを考えるポイントは、何の為に託したいのか?(目的)を考えるところからスタートすることになります。この点については、専門家の意見を参考にすることも大事ですが、やはり目的に沿うにはどの財産を信託し、誰に託すのが適切なのかという委託者ご自身の考えが大きな部分を占めることになります。
何の為に託したいのか?
家族信託で何を信託財産とするのかを判断する上で重要なのが、「何の為に託すのか」つまり「目的」です。
不動産の積極的な利活用を主たる目的とする信託
不動産の積極的な利活用を主たる目的とする信託であれば、利活用する可能性のある不動産やそれに相応な金銭を信託することになります。
委託者の方やその配偶者の安心した生活を目的とする信託
委託者の方やその配偶者の安心した生活を目的とするのであれば、居住している不動産を信託財産とすることになります。
一定の家産を末代まで承継することを目的とする信託
母屋などの先代から代々引継がれてきている財産を末代に渡って承継することを目的とする信託であればそれらの財産を信託財産とすることになります。
上記の例は、ほんの一例です。いずれにせよ信託の目的に沿った財産を選択することが必要です。なお、不動産を信託する場合、固定資産税などの固定費が必要となりますので一定の金銭も信託することになります。その際の金額については、不動産の固定資産税額や、築年数などに応じて修繕費を見込むなどのによって定めなければなりません。
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