家族信託にかかるコスト(費用)は?
皆さんこんばんは。じめじめ蒸し暑い時期に突入しています。
先日壁掛け扇風機を買いました。
上から風が来るので、空気が循環し心地いい風を送ってくれます。
しかも、邪魔にならないし、エアコンと併用するので電気代の節約にもなります。
今年の夏は大活躍してくれそうです。
さて以前、家族信託を利用する際の費用について記述しました。
意外に好評だったため、改めて内容を精査しましたのでご覧ください。
家族民事信託にかかかるコストは?
家族民事信託は非常にメリットの多い制度ですが相応の費用がかかります。
信託する財産の額や財産の種類・数によって費用は大きく増減します。特に信託財産に不動産が含まれるのか含まれないのかで大きく異なってきます。
お客様にとって家族民事信託の導入にあたっては、まず「費用の目安」を知ることが大切です。
一般的な相場は以下のとおりです。
※ 預貯金及び不動産の合計額が1000万円~1億円程度である場合を想定しています。
上記①~⑤の合計金額が必要となります。
こんなに費用が掛かるのか!! と驚いた方もいるのではないでしょうか。
なぜこのような費用がかかるのかを簡単に説明いたします。
① コンサルティング報酬【費用相場:信託財産の1%】
専門家(司法書士等)に信託内容を設計してもらうコンサルティング費用です。
当然専門家に頼って契約書を作成する必要はありませんが、非常に難解な信託契約書を作成するのは至難の業です。
何よりも、家族民事信託は「相続対策の1つの手段」に過ぎません。相続対策には他にも遺言や生前贈与、成年後見制度の利用などの手段がある中で、本当に家族民事信託がベストチョイスであるかを検討する必要があります。
それらについて詳しい専門家に相談することは結果的に後々の問題を未然に防ぐことができる上に、コスト面においてもいい結果になると思います。
このコンサルティング報酬は専門家によってまちまちですが、私も会員である一般社団法人家族信託普及協会の報酬基準が目安になるかもしれません。
一部紹介いたします。
② 信託契約書(案)作成費用【費用相場:10万円~20万円】
家族民事信託の内容が定まると、次にその契約書の案(遺言信託の場合は遺言書の案)を作成する必要があります。信託契約書(案)を作成するにあたっても条項などを精査する必要があり、しかもその中には難解な事項が多くあり、専門家に依頼することは必須でしょう。
この契約書作成費用は専門家によって様々ですが【10万円~20万円】くらいではないでしょうか。
③ 公正証書作成費用【費用相場:5万円~10万円】
公正証書作成費用とは、公証役場で公証人に公正証書を作成してもらう手数料のことです。
信託する財産額や契約内容によって増減しますが【5万円から10万円程度】と想定しておおけばいいかと思います。
ここで注意が必要なのは、そもそも信託契約書は公正証書で作成することは必要でありませんので、公正証書によって信託契約書を作成しなければこの費用はかかりません。
しかし、私が以前書いた記事にもあるように、公正証書で作成する方がいいです。
下記の関連記事ありますのでご覧ください。
④ 不動産登記費用【費用相場:7万円~15万円】
信託財産に不動産を含む場合には、不動産の名義を委託者から受託者へ変更する手続きを行わなければなりません。司法書士に依頼せずに申請書や添付書類を作成し法務局で登記申請すれば、この費用はかかりません。
しかし、家族信託に関する登記については、他の登記に比べ難易度が高いので、申請書の準備や法務局への登記申請など、煩雑な登記手続きを司法書士へ依頼するようにしましょう。
司法書士に依頼する費用は信託する不動産の評価額や物件数によって増減しますが【7万円~15万円程度】と想定するとよいでしょう。
⑤ 登録免許税【費用相場:固定資産税評価額の0.3~0.4%】
法務局での名義変更手続きの際に納付しなければならない費用がこの登録免許税です。登録免許税は固定資産税評価額を基準に以下のとおり算定することになります。
土地の場合・・・固定資産税評価額の0.3%
建物の場合・・・固定資産税評価額の0.4%
たとえば、評価額3000万円の土地を信託する場合には、9万円の登録免許税がかかります。
まとめ
上記のとおり、一見すると高額な費用に思いますが、他の制度(遺言・生前贈与・成年後見制度等)を利用した場合にかかる費用や家族民事信託にしか実現できないメリット等を踏まえて、総合的に比較検討することが必要です。
専門家に相談する方はこれらについて総合的に判断できる専門家に相談するようにしましょう。
以下、関連記事です。
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