財産を安心して子に引き継ぐ為に知っておきたい遺言書の基礎知識とは?
みなさんこんにちは。朝夕ずいぶん涼しくなってきましたね。
もう秋まですぐそこです。
さて、以前、ある男性(80歳)からのご相談を受けることがあり、その際のやり取りをご紹介いたします。
「財産を安心して子に引き継ぎさせるために遺言書を書こうと思っていますが、遺言書はいくつかの書き方があると聞きました。どのような方法があって、それぞれの利点等を教えてもらえませんか。 」
という内容でした。
最近はライフスタイルや家族構成の変化などで遺産分割協議が整わないなど相続トラブルが多く発生していると聞きます。
相続人が1人であれば問題ありませんが、2人以上であれば、法定相続分で財産を分けるか、話し合い(遺産分割協議)を行わなければなりません。
話し合い(遺産分割協議)が整わなかった場合、いつまで経っても不動産や預貯金の名義変更ができません。
もし有効な遺言書を事前に準備していればこのようなトラブルが発生することもなく、遺言書に書かれた内容通りに相続人に財産を引継ぐことができます。
遺言書の作成方法が複数ある?
遺言書を書く方法には、全部で7種類あります。
その中でも一般的によく利用されている自筆証書遺言と公正証書遺言の2つを紹介します。
自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言はその名のとおりご自身の手で作成する遺言書です。
ここで注意が必要なのが、自筆証書遺言はご自身が自筆して捺印しなければならないということです。
パソコンで作成したり、他人に代筆してもらった遺言書は自筆証書遺言としては認められません。
「病気を患っており、自身では字を書くことができないので妻に代わりに書いてもらうことは可能ですか? 」
と相談を受けたことがありますが、これでは遺言書は無効となってしまいます。
また、正確に日付を記載する必要があります。
以前実務で、「平成25年6月吉日」というような案件を見たことがあります。
吉日という記載では、具体的に何日であるのかが分からないので無効となってしまいます。
以上のようなことを踏まえると、仮に無効の遺言書を遺してしまうと、せっかくの想いを実現することができません。
そこで、次の公正証書遺言という方法が多く利用されています。
公正証書遺言とは?
公正証書は全国にある公証役場にいる公証人に遺言書を作成してもらう方法です。
公正証書で作成すると自筆証書遺言のような不安は解消されます。
公証人が証人2名の立会のもと有効な遺言書を作成し、そしてそれを保管してくれますので安心して遺言書を遺すことができます。
敢えてデメリットがあるとすれば、自筆証書遺言は無料で作成できますが、公正証書遺言の作成には費用が掛かります。
ただし、費用がかかるとはいえ、有効な遺言書を作成することができるわけですから費用を惜しまず積極的に利用すべきであると考えます。
自筆証書遺言にせよ、公正証書遺言にせよ有効な遺言書を遺して円満な相続を実現したいですね。