家族信託を利用した障がい者の支援とは?【事例紹介】
みなさんこんばんは、私は今新幹線で移動中です。
久しぶりに乗りましたがやはり快適ですね。一杯飲みたいところです。
ダイエットには辛いですが。
家族信託を利用して障がい者を支援することは可能か?
さて本題に入りますが、先日事務所にお越しになられた女性の方からのご相談を紹介いたします。
相談者・長女(55歳)
「私には弟(52歳)がいますが、幼少の頃から重度の精神障がいを患っています。これまでは84歳の父と83歳の母が、弟の面倒をずっと見てきてました。最近は自身たちの体調の不調が多くなり、父母は弟の面倒を見ることができなくなった場合どうなるのかを心配しているようです。そこで、両親は今後長女である私に財産の管理を任せつつ、弟を面倒見て欲しいと思っているようです。何かよい方策はありませんか。」
このご相談を要約しますと、
① 父親と母親の安心した生活を確保したい
② 障がいを持つ弟を最後まで安心した生活させてあげたい
③ 両親と弟が亡くなったあとの財産を長女が承継できるようにしたい
ということになります。
家族信託を利用した障がい者への支援の方法とは?
弟(52歳)さんが重度の障がいを患っているこのようなケースでは、成年後見人等の選任が必要になりますよね。
その場合、成年後見人が財産を管理することになりますので、両親が亡くなって相続が発生した場合は、成年後見人を含めて遺産分割協議をすることになります。そうなると両親の想いである長女に弟を面倒見て欲しいということを実現することは困難になります。
そこで、わたしはご相談を受けた際に、家族信託を利用したスキームを提案いたしました。
ここでのポイントは、家族信託を利用することによって、両親の安定した生活を確保しつつ、両親が弟の面倒を見ることができなくなった場合、長女が弟の金銭面を含めた財産管理を行い、弟が亡くなったのちの財産は、長女が承継することができるという点です。
わたしはご相談を受けた際に、家族信託を利用したスキームを提案いたしました。
この家族信託のスキームを図に示すと次のようになります。
家族信託を利用したスキームで実現できること
上図のような方法で家族信託を利用すると次のようなことが実現可能です。
① 父親と母親が認知症や体が不自由になった場合でも安心した生活を確保することができます。
② 障がい者の弟が亡くなるまで安心した生活を確保することができます。
③ 両親と弟が亡くなったあとの財産は長女が承継し、相続と同等の効果を生むことができます。
上記のスキームでは障がい者の支援で家族信託を利用しましたが、浪費癖がある方に対しても有効に利用することができます。
利用の仕方によって様々なケースに対応できるのが家族信託です。
ご興味がある方はぜひご検討ください。
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