家族民事信託の契約書は公正証書遺言と同様の効果があるので公正証書で作成しよう!
「信託契約書はどのような形式で作成したらいいんでしょうか? 」
「いろいろ調べてみると信託契約書を公正証書で作成しているケースが多いようなんですが、公正証書で作った方がいいんですか? 」
そのような相談を受けることがあります。
家族民事信託はまだまだ世間に普及しているとは言えませんので、どのような形式で作成したらいいのか分かりづらいですよね。
家族民事信託契約書の作成方法とは?
結論からすると、信託契約書はどのような形式で作成しても構いません。
委託者(財産を預ける人)と受託者(財産を預かる人)が書類を作成して、双方が署名と押印するだけで契約は成立するということです。
家族民事信託契約書は公正証書で作成しよう
ただし、私は公正証書で信託契約書を作成することをお勧めしています。
それは次の5つの理由から私は公正証書での作成をお勧めしています。
1.公正証書遺言と同様の効果があるので公正証書で作成すべき!
2.任意後見契約と同様の効果があるので公正証書で作成すべき!
3.金融機関で口座開設をする際に有利であるので公正証書で作成すべき!
4.登記する際の信託目録への記載事項で有効であるので公正証書で作成すべき! 5.私文書で信託契約書を作成した場合、紛失の恐れがあるので公正証書で作成すべき!
上記の点を詳細に解説いたしますが、今回は「1.公正証書遺言と同様の効果があるので公正証書で作成すべき!」という点についてご説明します。
公正証書遺言と同様の効果があるので公正証書で作成すべき!
家族民事信託は、信託されていた財産を信託が終わる際に、その承継先を決めることができるようになっています。
例えば、「私が亡くなって信託が終わった時は、わたしの信託された財産は妻に2分の1、長男に2分の1ずつ承継させます。」といったような内容とすることができるのです。
あれ?これってよく考えたら遺言書と変わらないですよね?
そうです、家族民事信託を利用すると遺言書と変わらない効果を持たすことができるのです。
前述した通り、家族民事信託は様式がありませんので、私文書で作成しても遺言書と同様な効果を生む信託契約書を作成することができるのですね。
一方、遺言書の作成方法は様々ですが、信用性の高い遺言を作成しようとすると公正証書で遺言を作成することになります。公証人に関与してもらうことによって安心安全な遺言書を作成することができるのです。
安心安全な遺言書を作成するために公正証書で遺言を作成しなければならないという形式が求められる一方で、信託契約書は私文書でも構わないというのは、あまりにもバランスが悪いように私は考えています。
家族信託が遺言と同様の効果を生むのであれば、書類の作成方法についても同じような要件を備えるべきですよね。
以上のようなことから、信託契約書を作成する際は原則公正証書、例外私文書と考えているのがいいのではないでしょうか。
とはいえ、各家庭によって様々な事情がありますので専門家にご相談されることが大切です。
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