成年後見と家族信託の違いとは?
「家族信託制度は成年後見制度とよく似た制度だと聞いたのですが、どう違うのですか? 」
このような相談を耳にすることが最近よく増えました。
家族信託も、成年後見と同様にずいぶん浸透してきた印象ですね。
確かに、高齢者や身体の障がいをお持ちの方の財産を守るという意味では家族信託も成年後見も同じなので、違いが分かりづらいですよね。
成年後見制度と家族信託の違いとは?
成年後見制度と家族信託制度には大きなところでは次のような違いがあります。
成年後見制度と家族信託の比較
家族信託なら財産を積極的に運用することが可能
積極的な財産管理とは、例えば家や土地を売買する、預金や現金で株式等を売り買いすることなどをいいます。
逆に消極的な財産管理とは、売買などの処分はできず、通帳の記帳をしたり、固定資産税の支払いをしたり、主に必要最小限の管理だけをするような方法をいいます。
成年後見は、被後見人(高齢者など判断能力が衰えた方)の財産をきちんと安全に管理して、守ってあげましょう、という考えからできた制度です。
そのため、安全ではない積極的な財産の売買などは制限されているんですね。
それに対して、家族信託はどうでしょうか。
家族信託は、財産を預ける方(委託者)が財産を預かる方(受託者)に対して「信じて託す」ことをいいます。
そのため、財産を託す目的に沿った内容であれば、仮に積極的な財産の管理の仕方でもかまわないということになります。
たとえば、認知症の父親(80歳)が自宅を所有しており、一人息子(56歳)がそれを管理していたケースを考えてみましょう。
息子「父親の自宅を管理しているけど、建物も古くなってきたし売却して現金に変えたいんだけど、そのようなことできるのだろうか。 」
上記のような悩みがある場合、積極的な財産管理ができない成年後見では原則売却はできませんが、家族(民事)信託であれば積極的な管理ができるので売却が可能なのです。
家族信託を利用して各ご家庭に合った自由で、かつ円満な財産の承継を実現したいですよね。
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