遺言書の検認の必要性
大切に使っていた冷蔵庫が壊れました。氷が作れなくなったのです。
これには、10年保証を付けていました。
調べてみるとこの冷蔵庫は買ってから、10年と1か月を迎えていました。
あと1か月早ければ・・・
電気屋さんに修理を頼むと4万円かかるし、そのほかの部分も順番に壊れていくので、修理をするよりは、新しいものを買ったほうがいいと言われ、さらにショックを受けました。
噂ですが、冷蔵庫は10年経つと壊れるようにできているそうです。ずるいですよね。
先日、このような電話がかかってきました。
「家庭裁判所から『遺言書を検認しますので、立ち会われるように通知します』という旨の書類が届いたのですが、遺言書の検認とはいったい何ですか?」
遺言書の検認とは、家庭裁判所に遺言書が確かにあったということを証明してもらうことです。
主な目的としては、遺言書の存在を明確にして偽造されることを防ぐために行われます。
また検認の終了は相続人全員に通知されるため遺言書が存在することを相続人全員に周知させる効果もあるのですね。
ここで注意が必要なのが遺言の内容の有効、無効の判断をするものではないということです。
もう少し中身を詳しく見ていきましょう。
遺言の種類はどんなものがあるのか
遺言には
・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言
の3種類がありますが、
このうち、家庭裁判所での検認が必要なのは、自筆証書遺言と秘密証書遺言になります。
以前記事を記載していますのでご覧ください。
公正証書遺言については、公証人が作成しているので、改ざんや偽造される可能性はないということで検認手続きをする必要はありません。
【なお、相続法改正にあわせて、自筆証書遺言について法務局で保管する制度が開始されます。(保管開始は2020年7月10日)。この法務局で保管される自筆証書遺言については、検認は不要の扱いとなります。】
もし自筆証書遺言/秘密証書遺言書を発見した時は、遅滞なく、相続開始地の家庭裁判所に提出して検認を行う必要があります。
封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができません。
以上の手続きを守らない場合、五万円以下の過料に処される可能性があります。
また、遺言の保管者が遺言書を隠匿した場合には、相続欠格となる可能性もありますので注意が必要です。
検認の方法は?
遺言の保管者は、遺言者の最後の住所地又は相続開始地の家庭裁判所に検認を申し立てます。
検認が申し立てられると、裁判所は申立人と相続人に対して検認期日の通知をします。これによって、相続人は遺言の存在を知ることになります。なお、この通知に対して裁判所に相続人が出頭するか、出頭しないは自由です。
そして、検認期日では何人かの相続人が出頭しなかった場合でも裁判所は開封・検認の作業を進めます。この際、相続人に対し、遺言が自筆であるか、押印が遺言者のものであるかどうかを確認することになっています。
検認後は検認に立ち会わなかった申立人や相続人等に検認がなされた通知がされ、遺言書は検認済証明書を添付して返却されます。
検認手続きは、申立てから検認までに少なくとも1カ月弱の期間が掛かっているようです。
検認にかかる費用
- 収入印紙:遺言書1通につき800円
- 連絡用の郵便切手:裁判所によって異なる(数百円程度)
まとめ
検認手続きは必ず必要というわけではありません。
しかし、遺言書の中に不動産に関する内容が記載されていた場合は登記手続が発生しますが、検認手続きがされていない遺言書ではこれもできません。
また、金融機関も検認を受けていない遺言書では手続を行ってくれないことも多いようです。
つまり、検認がないことによる不利益はかなり大きいと言えるでしょう。
以下、関連記事です。
遺言書は書いた方が良いと思われている方も多いと思いますが、『もし、あなたがこんな状況だったら、遺言書を書かない方が良い』という事例をまとめて解説しました。
相談会で「制度のことは分かったし、将来的に活用したいんだけど、一体どのくらい費用がかかるの?」と質問されることが多いので、多くの方々が比較される家族民事信託と成年後見制度を比較して、解説しました。遺言書以外の対策によるコストも知っておきたい方はこちらも合わせてお読みください。
成年後見人制度は一般の方でもご存知の方が増えて来たと共に、詳しい内容について質問されることも増えて来ました。今回は、成年後見人の報酬について解説しました。